これまでの日本を形作ってきた伝統的な家父長制において、平安時代より月経を「穢れ」として遠ざける風習があり、長い間月経はタブー視されてきました。現代においては、SNSの普及も相まって月経に対する意識は変化しつつありますが、まだまだ他者とオープンに月経を語る機会やその知識に関して課題も指摘されています。今日、慣習や国の人口政策などを押しつけられず自ら決定し身体をコントロールする「からだの自己決定権」があらためて注目されています。
近年の女性活躍推進により女性が働くことは当たり前の時代となりつつある中で、月経に関連する課題は社会問題化し、月経随伴症状による労働損失は年間4,911億円という結果も報告されています。現代女性の多様化する働き方やニーズに対応するために、我々はどういった視点を持ち適切な医療を提供すべきでしょうか。
今回の女性医療セミナーでは、これからの日本人女性が自分らしく活躍するために、長い歴史の中で変化してきた「月経」に対する意識や「からだの自己決定権」について理解を深め、さらにこれからの女性医療において我々がすべきことは何かを考えてみませんか。
一般社団法人日本家族計画協会 会長 北村 邦夫